留学して分かった留学では得られないもの ~帰りの飛行機の中で~

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次郎作こと、布施田泰之です。

タイのシリラート病院での2か月間に及ぶ海外臨床実習を終えて、

帰りの飛行機の中で、

留学について深く思い馳せ、その考えを文章にしました。

しかし、

そして出来上がった文章を読んだところ、ものすごくマジメすぎるので「封印」しちゃってました笑

 

そんな時に、一緒にブログを書いている川良が、より深く自分に迫る記事を書いてくれたので、

(こちら→ “僕の過去~京都大学を中退して医学部を目指したわけ~”

僕も感化されて、封印していたマジメ記事を公開しようと思います。

真面目な文章が苦手な方は、読まないでください笑

 

 


 

今、飛行機の中にいます。

2か月間に及ぶ、タイでの海外臨床実習を終えて、日本に向かっている途中です。

今回のタイでの留学や、去年のガーナでの留学、そして数々の旅を通して、

(短期)留学や旅について思ったことが2つありました。

なので、それについて書いていきたいと思います。

 

1つは、

「短期留学や旅は、人としての幅や見聞を広げるものではあるが、深めるためのものではない」

ということ。

 

2つ目は、

「人は結局、日常を懸命に生きなければならない」

ということです。

 

僕は、ガーナ留学とタイでの臨床実習を通して、多くの事を経験しました。

ガーナでは、入国審査官に1万円ぼったくられました。毎日が水シャワーで修行の日々でした。寮にはWi-fiもろくになく、することもないため毎晩瞑想し自分の人生に思い巡らせました。そして、WHO, Ghana Health Service, 野口記念医学研究所の3つの機関の共同研究に参加し、アフリカ睡眠病について研究しました。

タイでは、掃除のおばちゃんに14,000円盗られました。しかし、その犯行の瞬間を動画におさめてやりました。また、タイに来ていた日本の医学生やタイの医学生と仲良くなりました。ソンクラーンの水かけ祭りに参加してきました。ブログを書き続けました。そして、2か月間のシリラート病院での臨床実習で日本では見られない症例を数多く見ました。

この2つの留学を通して、僕は確実に成長しました。

 

自分でもはっきりと感じられるほど、

他の人の目から見ても見違えるほど、

成長した自信があります。

そこに関しては何の疑いもありません。

 

 

・・・しかし、

その成長の仕方は、

「人としての幅が広がった」とか「興味の範囲が広がった」とか「色々な見方が出来るようになった」などと、表現されるようなもので、

イメージとして、横方向の成長でした。

言ってしまえば、今まで0だったものを1にしたような、

全く知らなかった世界に触れてみた、というような、

そういう広く浅い知識や経験です。

もちろん成長したことには変わりなく、喜ばしいことではありますが、

「横方向の成長だけでは満足してはいけない」と感じています。

 

成長の方向には横方向だけではなく、

縦方向の成長があると思うんです。

それは「専門性を深める」とか「知識を深める」とか「技術を高める」とか表現されるものです。

あくまでイメージの話ですが、

すでにある程度出来ることをさらに出来るようにする、

ある程度知っていることを誰にも負けないくらい勉強する、

そういったものが縦方向の成長だと考えています。

 

 

そして、

この留学に関して、僕はこの縦方向の成長をいつしていたか、

と考えてみると、

それは「留学中」では、ありませんでした。

 

 

それは、

 

大学3年生時の、

退屈な「日常」の中でした。

 

去年1年間、

永遠に繰り返すのではないかと感じられるほどの「日々」の中でした。

 

 

僕は大学3年生で専門の授業が始まった時、

ガーナ留学の選考に落ちることのないよう、

毎朝眠い目をこすって登校し、授業中は去年の過去問や試験対策プリントを読みながらノートを取り、試験前には必死になって勉強しました。来る日も来る日もそれを繰り返しました。

僕の医学知識はそこで深まりました。

臨床を夢見る医学生が軽視しがちな解剖学や生理学などの、医学の基礎の部分から知識を深めました。

将来、医者という仕事に直結してくる縦方向の成長は、

あの無機質な「日常」にあったように思います。

 

 

 

 

また、今回のタイ留学に際しては、今まで僕自身の課題であった「英語」を1年間勉強してきました。

留学の選考日の関係上、CBTという試験の勉強の合間を縫って英語の勉強し、CBTの1週間前にTOEFLiBTを受験しました。

選考後も、英語の勉強時間を確保して、移動時間にも英語を聴くようにして、時には英語の文献を進んで読むようにして、英語の克服に乗り出しました。

そうして、僕の英語力は高まりました。

今でも友達と比べると粗末なものですが、昔の自分と比べるとかなり高まったと自負しています。

将来、国際的に活躍したいと考えている僕に直結する縦の成長は、

去年1年間、人知れず英語学習に励んだ繰り返しの「毎日」にあったのです。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

人は、「日常」を忌み嫌います。

その退屈で変わり映えのしない「毎日」を、ぞんざいに扱います。

 

そして、「留学」や「旅」といった「非日常」を求め、憧れます。

「非日常」が劇的に人生をかえてくれると、無責任に願ってます。

 

僕もそうでした。

楽しく刺激的な「非日常」が、欲しくて欲しくてたまりませんでした。

「非日常」が僕を、とんでもないところに連れて行ってくれると、勝手に願ってました。

 

 

しかし、

人生を劇的に変えるためのポイントって、

実は、

「日常」を懸命に生きることかもしれません。

何かを成したいなら、

「人は結局、日常を懸命に生きなければならない」のです。

 

 

中学3年間で、唯一覚えている校長先生の言葉があります。

そんなに目新しい言葉ではないし、正直たいした言葉ではありません。

が、なぜかその言葉だけ覚えているんです。

最後にその言葉を紹介したいと思います。

 

「みなさんは、毎日同じことの繰り返しでつまらない、無意味だ、と感じているかもしれません。

しかし、物は考えよう、とよく言います。

毎日は繰り返しではなく、日々の積み重ねと考える。

1つ1つわずかずつですが、確実に積み重なっているんです。

繰り返す毎日は無意味に感じるかもしれません。

しかし、積み重ねる日々は決して無駄ではありません。」

 

 

 

僕はこの飛行機から降りるころ、

繰り返す「毎日」に戻っていきます。

あくびが出るほどの「日常」が待っていることでしょう。

 

しかし僕は、

その繰り返しに思える「毎日」でも、

しっかり1日1日丁寧に積み重ねていきたいと思います。

懸命に「日常」を生きていきたいと思います。

 

 

そして、いずれは、

その「日々の積み重ね」が僕を、

今では考えられないほどの高みに連れて行ってくれると、信じています。

 

布施田泰之

 

 

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COMMENTS

  • reina

    昨日、東京医科歯科大学のオープンキャンパスに参加させていただきました。もちろん、次郎作さんのお話も聴かせていただきました。面白くて、聴きやすかったです。とても失礼なのですが、遠方からの参加だったので、「もし、収穫がなかったら……」と不安に思っていました。でも、行ってみると収穫アリアリでした!そして、今回のオープンキャンパスで私は東京医科歯科大学の医学部に、入学したいと思いました。今の私の成績では、雲の上の存在ですが、気持ちと勉強でこの手で掴みとりたいと思います!貴重なお話、ありがとうございました!これからも学校生活にブログに頑張って下さい。応援しています!

    • 布施田泰之

      コメントありがとう。
      東京医科歯科大学の医学部志望なんですね!すごい!
      僕も、高校三年生の春に経済学部から志望を変えて、医学部目指した時は、親にも医科歯科を受験するのはとめられるレベルでしたが、一心不乱に勉強してどうにかなりました。
      田舎だったのでほぼ独学でしたが、誰よりもストイックに1年勉強した自信があります。
      軽々しく「大丈夫だよ」とは言えないけど「無理だ」とは僕が誰にも言わせません。応援してます、頑張ってください。

      • reina

        まさか、返信していただけるなんて!びっくりしています。 私も親に言ったときは「本気か」と言われました(笑) 私は、ド田舎の公立高校1年生なので特に頑張ります! 本当にありがとうございました。

        • 布施田泰之

          高校一年生なんですね!
          まだまだ可能性は無限大ですね。
          「誰でも出来るような勉強を、誰にも真似出来ないくらいやろう」
          僕が高3の時に心に誓ってたことです。
          周りの期待を超えるためには、周りの想像を超える努力が必要かもしれません。
          頑張ってくださいね。
          あと、大事な高校時代を楽しむことも忘れずにしてください!

  • akari

    こんにちわ!最近、諦めかけていた医学部を諦めずに目指そうと決めた高2生です。成績も全然で1年で行けるかわからないだすが、頑張ろうと決めました。親のお陰で私立を目指しています。
    私はこの記事を授業中にiPadを通して読みました。
    でも、最後の自分を変えてくれのは日常だとゆう言葉を見て自分はなにをしているのかなと考えさせられました。これからもっと勉強しなければいけないのに。大げさかもしらませんが、鳥肌が立ちました、笑
    自分にとったとてもいい言葉だったのでメッセージで伝えたいと思い書いてみました!ありがとうございます!

    • 布施田泰之

      akariさん、コメントありがとうございます。
      鳥肌が立つような文章を書くことが出来てよかったです。
      大学合格も、きっと懸命に日々を一歩ずつ歩んだその先にあると思います。
      頑張ってくださいね!応援してます!

  • あん

    はじめまして、こんにちは!

    布施田くんより一世代ほど上ですが、この年齢で日常の大切さに気づかれていることに感心しました!

    非日常を経験して初めて、
    日常の大切さが分かりますね。
    リフレッシュのためにも非日常は必要で、世の中に無駄なもの、ダメなものってないのかもしれないですね。

    布施田くんのように頑張っていらっしゃる若者の存在を知り、将来に希望が持てます。
    お身体大切に、頑張って下さい!

    • 布施田泰之

      あんさん、コメントありがとうございます。
      今、僕は研修医として日々頑張ってます。
      今は何もできないひよっこですが、毎日を懸命に生きていますよ!
      またブログを読みにきてくださいね!

  • 鹿児島の外科医

    鹿児島で外科をやっています。当直先で、先生のブログを拝見しています。
    縦と横の成長・・・、とても腑に落ちる表現でした。研修医や若手の先生方もそうですが、10年目から20年目までの外科医も日々勉強です。
    良い考えを、これからもどんどん発信して下さい。
    楽しみにしています。

    • 布施田泰之

      コメントありがとうございます。
      こんな人生のぺーぺーのブログを読んでくださっていることに感動しました。
      僕は今、研修医1年目として日々奮闘しています。
      この記事に書いたことを忘れず、知識や経験を積み重ねているつもりです。
      これからも成長の過程を書き続けられたらと思いますので、時々見にきていただけると幸いです。
      布施田泰之

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