訪問診療所に求められる施設基準とは

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今日は訪問診療所に求められる施設基準についてまとめてみたいと思います。
訪問診療を行うことのできる、施設とその施設に求められる基準について述べていきます。

 

【結論】施設基準は特にない

いきなりですが、訪問診療を行うことうえで施設に求められる規制や基準というのはありません。

訪問診療を適切な医療を提供し、適切な患者間コミュニケーションを実践することが出来れば、どんな診療所やクリニックでも訪問診療は実施可能です。

 

現在開業されているどんな先生方であっても、患者さんに最良の医療を提供できるのであれば、すぐにでも外来診療に加える形で訪問診療を行うことが可能です。

 

 

ではここで言う施設基準が何なのかといわれると、

(得られる診療報酬を左右する)施設基準

という意味合いが強いのではないかと思います。

様々な施設基準を満たすと、診療報酬が加算される(あるいは満たさない場合には減額とも考えられる)というのが、厚生労働省の定めるところとなります。

 

 

在宅時医学総合管理料とは

ここで少し、施設基準について述べる前に、在宅医療にまつわる診療報酬を一つだけ紹介させてください。

「在宅時医学総合管理料」

というものです。

これは、「ある患者さんに対して月に1回あるいは2回定期往診を行い、その他“24時間365日”臨時往診が可能である状態」に対して国家から診療所に向けて支払われる診療報酬であり、在宅医療を行ううえで根幹となる報酬です。

そしてこの在宅時医学総合管理料(以下、在医総管)というのが、その施設ごとに異なっていることが重要となります。


(日経メディカルより著者改変)

表にある「単一建物診療患者」とは、簡単に言えば

① 1人   → 自宅
② 2-9人  → 施設
③ 10人以上→ 大きな施設

と理解でき、一度に同一施設の中で見る患者さんの数が多いほど、診療報酬が下がっていく仕組みですが、これは時間的コストパフォーマンスの観点から納得と言えます。

 

では少し遠回りしましたが、以下に、問診療にまつわる具体的な施設とその基準を述べていきます。
繰り返しになりますが、在宅医療を実践するうえで、必須となる条件は特にありません

 

①在宅療養支援診療所

【特徴】
1人につき1か月に1回、在医総管4600点が算定可能
(ただし、単一建物患者数1人に対して月2回の訪問診療を行った場合。以下同様)

【施設基準】
・診療所である。
・在宅患者数が全患者数(外来患者なども含む)の95%以下である。
・24時間連絡を受ける医師又は看護職員をあらかじめ指定し、その連絡先電話番号等を文書で患家に提供。
・緊急時に在宅患者が入院できる病床を常に確保し(無床診療所は他医療機関との連携可)、受け入れ医療機関の名称等をあらかじめ地方厚生局に届け出ている。
・24時間往診が可能な体制(診療所は他医療機関との連携可)を確保し、 往診担当医の氏名、担当日等を文書により患家に提供。
・自院又は訪問看護ステーションとの連携(診療所の場合は他の医療機関 との連携も含む)により、24時間訪問看護の提供が可能な体制を確保し、訪問看護の担当者の氏名、担当日等を文書により患家に提供。
・連携先の医療機関や訪問看護ステーションが緊急時に円滑な対応ができるよう、あらかじめ患家の同意を得て、必要な情報を文書(電子媒体を含む)で提供している。
・患者に関する診療記録管理を行うのに必要な体制が整備。
・地域において、他の保健医療サービス及び福祉サービスとの連携調整を担当する者と連携している。
・年1回、在宅看取り数等を地方厚生局に報告している。

 

要するに無床診療所の場合は、他施設と連携しながらでも良いので
① 入院病床の確保
② 24時間対応の医師・看護師を確保
③ 年1例はお看取りをする(連携不可)
を主に満たせばよいということになります。

 

②機能強化型在宅療養支援診療所

【特徴】
1人につき1か月に1回、在医総管5000点が算定可能
その他にも、様々な診療報酬が通常より高く設定されている。

【施設基準】
上記の在宅療養支援診療所の施設に加えて下記の基準を満たす必要がある。

・在宅医療を担当する常勤医師が3名以上配置。
・過去1年間の緊急往診の実績10件以上。
・過去1年間の在宅における看取り実績4件以上又は15歳未満の超重症児・準超重症児に対する在宅医療の実績(3回以上の定期的な 訪問診療を実施し、在宅時医学総合管理料又は施設入居時等医学 総合管理料を算定している場合に限る)を4件以上。

 

こちらの機能強化型在宅療養支援診療所についても、他施設との連携によって基準を満たすことが可能ですが、その場合には追加でいくつかの基準を満たす必要があります。
(参考:在宅医療/在宅患者診療・指導料)

 

③在宅専門の在宅療養支援診療所

【特徴】
在宅患者数が全患者数の95%以上、つまり “在宅専門”のクリニックの場合、下記の基準を満たさない限りは在医総管が満額支給されない
(具体的には④その他すべての診療所の報酬の80%しか得られない)

国の政策上は

「外来をやっていない診療所は、在医総管をきちんと算定しながら在宅医療を行うハードルが高くなる」ことになります。

 

【基準】

 

 

③その他すべての診療所・クリニック

【特徴】
1人につき1か月に1回、在医総管3450点が算定可能

【施設基準】
特になし。上記①②③に当てはまらない診療所はこちらに該当します。
現在、普通にクリニックとして外来診療にあたられている先生方の大部分はこちらに該当するのではないでしょうか。
冒頭でも述べたように、訪問診療を行う上で満たさなければならない特別な基準はありません。
あるのは、特定の施設基準と診療報酬の対応だけです。

 

門戸は開かれている

以上のように、現在の基準では様々な施設がその状態に応じて、それぞれの形で訪問診療が行えるようになっています。

在宅医療への門戸は比較的広く開かれており、診療報酬の面でも国からの優遇が見て取れるというのは、それだけ国が今後の医療を担うものとして期待している証かもしれません。

きたる2025年、団塊の世代700万人が一気に後期高齢者となり、日本の超高齢化社会は象徴的なステージへと達します。

一方で急性期病院の病床は今後も減るばかりであり、医療の手からあぶれてしまい行き場を失った患者さんたちが適切な医療を受けられなくなってしまう、そんな事態がもう間近にせまっています。

いえ、あるいは日本という国は、もうそんな状態に足を踏み入れているのかもしれません。

(参考:在宅医療/在宅患者診療・指導料)

 

その他の情報など、まとめページもご参照ください↓

在宅医療・訪問診療まとめ

 

川良健二

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