アシネトバクター Acinetobacter

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タイの感染症科の患者には、

多くの「Acinetobacter」による肺炎を起こしている人がいました。

日本(の大学病院)では、見たことがなかった感染症だったため、いつものごとく要点をまとめてみました。

数行なので、知識の整理にお使いください。

アシネトバクター Acinetobacter

分類
・グラム陰性桿菌

疫学
・暖かく湿った環境を好み、熱帯・亜熱帯(タイ含む)や暖かい季節に多い。

臨床上の特徴
・院内感染、日和見感染を起こす。皮膚の常在菌として検出されることがある。健常人ではほぼ問題にならない。

・欧米を中心に多剤耐性アシネトバクターの出現が問題となっていて、人工呼吸器関連肺炎など起こす。

・多剤耐性アシネトバクターの場合、一般的な抗菌薬はほとんど無効で、コリスチンやポリミキシンBを使用する。

注意点
・乾燥に強く、皮膚や手すりなどでも数日間生存可能

・院内集団感染例では、電話受話器・ドアの押し板・患者のチャート・卓上などでアシネトバクターが認められ、医療スタッフの手によってアシネトバクターが運ばれたと考えられる

参考文献
標準微生物学 p225
横浜市衛生研究所 ”アシネトバクター感染症について”
IASR “多剤耐性アシネトバクター”
国立感染症センター ”多剤耐性アシネトバクター Q&A”

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