重症筋無力症(筋無力性クリーゼ myasthenic crisis)

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タイのシリラート病院での海外臨床実習もついに4週目に突入し、

新しく呼吸器内科に配属になりました。

ここで、感染が契機となって、重症筋無力症に伴う「筋無力性クリーゼ myasthenic crisis」を起こして呼吸不全に陥った症例を経験したので、

筋無力性クリーゼについて調べてみました。(重症筋無力症自体については各自勉強してください笑)

筋無力性クリーゼとは「重症筋無力症が、感染症や手術、薬剤などを契機に急性増悪して、補助呼吸が必要な状態になること」です。
(クリーゼはドイツ語で、英語でcrisis 日本語で危機 という意味です)

クリーゼ
(病気がみえるvol.7 脳・神経 p321より)

臨床的に問題なのは、「重症筋無力症の患者で、クリーゼを起こす原因が2つあること」です。

1つは、純粋に重症筋無力症があるきっかけを契機に急性増悪した「筋無力性クリーゼ」です。
アセチルコリンが不足しているために、筋無力症状が強まります。
治療は、気道確保と人工呼吸。そして、抗コリン薬の追加です。

2つ目は、重症筋無力症の治療薬の抗コリンエステラーゼ薬の過剰が原因の「コリン作動性クリーゼ」です。
コリンエステラーゼを阻害しすぎて、アセチルコリンがレセプターにどんどん結合し、筋繊維が脱力したままになって(ニコチン様作用による)、筋無力症状があらわれます。(コリン作動性クリーゼでは、脱分極に対応する筋線維束攣縮がみられます)
また、抗コリン作用(ムスカリン様作用)により、気道内粘液分泌が亢進し、呼吸不全に拍車をかけます。
治療としては、抗コリンエステラーゼ薬を中止します。ムスカリン性アセチルコリン受容体を選択的に阻害する、硫酸アトロピンが用いられることをあるようです。

二つのクリーゼの原因の鑑別は、上記の筋線維束攣縮とムスカリン様作用の有無で行いますが、
紛らわしい場合に「テンシロン静注」を行うことがあります。
(テンシロンとは超短時間作用型の抗コリンエステラーゼ薬です)

コリン作動性クリーゼの場合、何の変化も認められませんが、
筋無力性クリーゼの場合、症状は多少なりとも改善します。

参考文献
STEP vol.1 神経・遺伝・免疫 p258
病気がみえるVol.7 脳・神経 p321

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