東南アジア最大「シリラート病院」での実習内容~後輩に向けて~

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布施田泰之です。

先日、大学側に実習内容について書いたものを提出しました。

書いていて内容が、

来年以降にシリラート病院に臨床実習に行ってみたいけど、実際どんなことするんだろう、

という後輩に向けて、とてもいい情報になると感じたので、紹介します。

実習内容について詳しく書いてある真面目な文章なので、

逆に言えば、後輩たち以外にとってはひどくつまらないものだと思います。

勝手に読まないでください笑

 

 

 


Division of Infectious Diseases
僕は、2か月間に及ぶシリラート病院での海外臨床実習の初めの3週間に「感染症科」を回らせて頂きました。感染症科の主な業務は、他科のコンサルテーションにこたえるというものであったためか、僕が1人の患者を担当するという機会には恵まれませんでした。しかし、患者から培養された菌を直接みんなで見て議論する「Microbiology Round」や、HIV患者だけを診る「HIV Clinic」など、日本ではなかなか経験することが出来ない経験をすることが出来たので、典型的なスケジュールとその説明をしていきたいと思います。

月曜日

7:30~9:00 HIV Round
HIV患者の入院病棟で、レジデントによる患者毎の報告と、その後実際に患者を診て回ります。普通の回診です。この時の症例報告は、英語の時とタイ語の時が半々でした。タイ語の時でも、近くの人が英語に翻訳して説明してくれます。

9:00~11:00 Microbiology Round
コンサルテーションを受けた症例や入院症例などで、培養待ちをしていた症例に関して、みんなで実際にグラム染色を見たり、培地の変色やコロニーの大きさ、溶血の程度などを見て、培養結果の解釈をしていきます。ここには、Microbiologyの(おそらく)教授も同席して、基本的にその人が主導で培養結果に関して説明してきます。日本ではいったいこの作業がどこで行われているのか疑問になると同時に、培養結果が出るまでの過程を目の当たりにすることが出来、貴重な経験となりました。

11:00~12:00 Topic review
(おそらく)レジデントのタイ人が、最近の論文を読んでスライドにまとめて発表します。いわゆる抄読会です。英語で発表することが義務付けられていました。読んでいた論文は「HIVとC型肝炎ウイルスのどちらにも感染している患者における最適な治療法」などと、HIV患者はとてつもなく多いタイならではテーマでした。また、シリラート病院では論文を読んだ後は必ず、論文の信用度を評価する時間を設けていて、かなり論文の信用度の良しあしの評価を大切にしているなぁという印象を受けました。

12:00~13:00
製薬会社の製品の発表を聞きながら、昼食を頂きました。おそらく、製薬会社の振る舞いだと思います。全部タイ語で行われ、特に翻訳もしてもらえないので、この時はひたすらご飯を食べて、配られる英語の論文を読んでいました。

13:00~15:00 Infectious Disease Clinic
外来病棟に移動し、2時間ほど先生の隣で外来を見学します。先生は各患者毎に、かなり詳しく英語で説明してくださいます。患者さんと話している時間以上に僕にいろいろと教えてくれるので、少し患者さんに申し訳なくなりました。しかし、ここシリラート病院は元国王が作ったタイ全土の最終受け皿となる病院で、然るべき紹介を経れば、医療費が全くかからないらしいです。そのためか、患者さんは心の底から先生に感謝している様子でした。

15:00~17:00 Teaching round
午後の3時以降は、ひたすら各科の病棟をまわってコンサルテーションをしていきます。学生は5時に帰されますが、長いと夜7時8時まで続いているようです。コンサルテーションは基本的にレジデントが症例の説明をし、指導医がいろいろ質問して治療方針を決めていく形式です。議論も含め全部、英語で行っているので、学生はひたすら傾聴しています。

以上が、最も忙しい日のスケジュールです。これに加え、いくつかの曜日特有のイベントがあります。

火曜日 10:00~12:00  HIV Clinic
HIV患者だけの外来を見学します。形式は月曜日13:00からのInfectious Diseaseの外来と全く同じです。先生が外来しているところを見学し、先生から患者毎に説明していただきます。HIV患者の多さに驚きます。また、学生が普通に外来を担当していることにも驚きます。どうやら医学部4年生の時から外来を任されるようです。

木曜日 9:30~12:00 Jounal club / Grand round
前半の1時間は、月曜日11:00からのTopic reviewと同じです。レジデントが論文を読んで、それをスライドを用いて英語で説明していきます。後半は、難しい症例の検討が始まります。後半はスライドは英語ですが、発表と議論がタイ語になるため、ついていけなくなります。時折近くの人が翻訳してくれます。

金曜日 7:00~8:00 Transplantation round
朝早くから臓器移植患者の症例検討会が行われます。朝ご飯を食べながら行われます。木曜日のGrand roundと同じく、スライドは英語ですが、発表と議論がタイ語なので、少し大変です。

 


以上、シリラート病院の感染症科での実習内容でした。

 

次郎作

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COMMENTS

  • りんご

    初めまして。いつもブログ楽しく読ませていただいてます!
    私もこの四月にシリラートの感染症で実習させていただく予定なのですが、こんなの勉強していってたらいいよ!などアドバイスいただけましたらありがたいです。

    研修医としてお忙しい中申し訳ありませんが、お返事いただけましたらありがたいです!

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