本好きが転じて、医学書を1から作りました!

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こんにちは、次郎作こと布施田泰之です

もう1年以上ぶりのブログ更新です。

今回は、ご報告したいことがあり、久しぶりにブログを更新しています!

“1から企画・執筆依頼・編集して、医学書を作りました!”

 

企画と執筆依頼から、はや1年が経過しているので、とても時間がかかりました。

何よりも先に、ご覧入れましょう!

こちらが表紙です!

なんか、それっぽくないですか!?笑

本のタイトルは、“国試で耳学問” です!

 

今すぐに試し読みしてみたい人は、アマゾンのkindleでも販売していますので、こちらで試し読みをしてみてください!

電子書籍での販売になります!

 

続きまして、

僕が書いた “はじめに” をご覧にいれながら、本のコンセプトをご説明します

国試の問題を題材に、

初期研修医1年目の方が4月に学ぶような臨床や各科の常識を若手専門医が語る、

というコンセプトの本です。

 

今回は、第3部作の上編にも当たる1冊なので、

救急、小児、麻酔、眼科、耳鼻科、呼吸器、の6科の内容になります。

目次も作りましたので、みてください!

電子書籍で作成した利点を生かして、繊細な色使いでカラフルに仕上げました笑

 

本書の使い方、ページもあります。凝ってますねぇ笑

あ、気付いた方もいると思いますが、このイラストは一応僕です笑

 

拡大するとこんな感じ

 

それでは、本文なども数ページご紹介します。

医師国家試験ではこういう内容の問題も出るんです。

そして、臨床の現場では医学生の頃は正答として選べていた選択肢の行動は取れないことも多いです。

 

こちらは僕が書いた部分になります。

 

こういった形で、普通の医師国家試験の問題解説集とは全く異なり、

国試の問題を題材にするだけで、語る内容自体はしっかり臨床の内容です。

 

ここまでで、どういった内容の医学書なのか分かっていただけたと思うので、

ここから先は、“製作秘話” と題して、製作の苦労をひたすら書かせてもらおうと思います笑

 

全く本を作った経験なし、の状態から電子書籍を仕上げていくのはとても大変でした・・・笑

 

時は戻って、2022年2月

この時期に、

本にはならないまでも自分が研修医時代に欲しかったような「有料コンテンツ」を作って、noteなどで販売できるといいんじゃないか、

というアイデアをもとに、

「国試で耳学問」の執筆依頼をしました。

 

集まった文字原稿を読んでみると、

「ふむふむ・・・おもしろい!」

と、感動すると同時に、

「編集して医学書にできないだろうか?」

と思うようになりました。

 

そこで、まずは知り合いのつてでデザイナーさんに、レイアウトを依頼します。

ゆるい依頼だったからか、催促期間も含め2ヶ月ほど待ちました・・・笑

その時のレイアウトがこちら↓

「おぉ、それっぽい!」

僕は歓喜の声を上げました。

 

ただ、これ以降の編集を全てやってもらうためには、

数十万〜100万ほどかかると言われ、断念します・・・

 

「やはり、人頼みではだめだ!自分たちで医学書を1から作れるようになろう!」

と、決心しました。

この時、2022年5月です。

 

その頃、ちょうど週に1日、働いてくれていた医学生インターンのヤマさん(仮名)がいたので、

今後は「一緒に医学書を作ること」をお話しし、

ヤマさんと二人三脚で本作りが始まりました。

 

まずは、「出版社の作り方」「一人出版社」「本 編集」「本 流通」などと調べました。

 

出版社のつくり方、で本当に詳しくて勉強になったのがこの本です。

みなさん、出版社で本が作られ印刷された後の本の流通は、

“出版取次”、という会社が担っていることはご存知でしょうか?

僕は知りませんでした笑

 

そういった、出版社を取り巻く実情について詳しく書いてありおすすめの一冊です。表紙やレイアウトはダサいですが・・・笑

 

また、参考にはなりませんでしたが、この本もよかったです。

元々、本作りに携わっていた人が独立して出版社を作った、という実例が11社載っていました。みなさん、本作りの経験もコネもある状況でしたので、僕としては参考にはならなかったですが、本として面白かったです。

 

次に、本の流通を考えるときに、すぐに取次に口座を作ってもらうのは難しそうだったので、出版社から直接本屋に本を卸す「トランスビュー方式」を取り上げた本を読みました。

こちらもそもそも本として面白かったです。

出版社からみると理想的なトランスビュー社の方式でしたが、

本屋側からみると、返品難しい、窓口が増えて煩雑、など一長一短だなと思いました。

 

そこで最終的には、

まずは「電子書籍」で実績を作り、

主要取次に売り込みに行ったり、地方・小出版流通センターにお願いすることで、本の流通を図るという作戦にしました。

 

電子書籍の作り方に関しては、↓こういった本も読みましたが、

正直、ネット上にある情報で十分でした笑

 

電子書籍を作る上で、

文字が主体のリフロー型(文字サイズが自由に変更できる)と、

画像で編集するフィックス型(雑誌などでよく使われる)があり、

僕が作りたい「読みやすい医学書」のためにはフィックス型がいいことが分かりました。

 

また、kindleなどで販売する際には、最終的に「ePub」というファイルにしないといけないのですが、

これは「pdf」ファイルから変換できるサービス(Romancerなど)があったので、

とりあえず、pdfファイルで電子書籍を作ればいいことになりました。

 

まだ全く本を作っていないうちから、販路の確保も事前に確認しました。

 

まずは、アマゾンのkindleで販売が可能なことを確認、

(↓こちらですね笑)

 

次に、noteでも有料でpdfファイルのダウンロードできる仕組みであることを確認、

こちらをクリックで、noteの販売ページへ行けます)

最後に、自分たちが運営しているサイト「医学書レビュー.com」内でも販売が可能なことを確認しました。

こちらをクリックで、サイト内の販売画面に飛べます)

(wordpressのプラグインでクレジットカード決済を導入することで可能になりました)

 

とりあえずは、3つの販売経路が確保できそうなことを確認できました。

 

ここまできたら、

あとは医学書を作るだけです!笑

 

ここから、編集一本で進めていきます。

編集一本になったのは、2022年の7-8月ごろからです。

 

まずは、デザイナーさんが作ってくれたレイアウトを医学生インターンのヤマさんに再現してもらいました。

先ほどと同じ画像と思いましたか?笑

違います!上の画像はヤマさんが再現したものです。

↓にデザイナーのものを再掲します

「一緒やないかい!」という声が聞こえてきそうですが、

影の具合などが実はちょっと違います笑

 

また、デザイナーさんから「医学生で編集進めていくなら、pagesじゃなくて使い慣れたパワポでもいいんじゃないか」というアドバイスを受け、

この頃から、原稿をパワポで作成するようになりました。

おそらく、出版社でパワポで原稿作ってるところなんて他にないと思います・・・笑

 

 

まず全てはプロを真似することからだと思うので、しばらく同じテイストで真似てもらいました。

↓テイストだけデザイナーの真似をして、医学生が文字原稿から1から編集したものがこちら

ある程度はトレースできるようになってきました。

 

 

この時期に、同時に表紙の作成もはじめました。

まずは、今の表紙のラフ画です。

この時期から、すでにそれっぽいですね笑

 

ただ、この表紙が生まれるまでに、いくつものボツ案がありました。

それもこちらで公開して昇華させたいと思います。

上のボツ案は、個人的には好きだったんですが、今の表紙の方が好きだったのでボツになりました笑

 

この表紙作成の時期に、医学生ヤマさんと一緒にデザインの勉強をしました。

読んだ本としては、

や、

などがとても分かりやすくてよかったです。

初心者でも、どこを気をつけたら良いかのルールが分かります。

 

また、デザインをブラッシュアップさせていく過程としては、

こちらもよかったです。

初稿→再校→三校→校了と、クライアントの要望を取り入れながらデザインがブラッシュアップしていく様が体験できます。

 

また、デザインの本を読むと全てに書いてあるのですが、

まずは「何を伝えたいか」をはっきりさせることです。

また、添える言葉である「キャッチフレーズやキャッチコピー」も大切になります。

こちらも、2冊ほど本を読み、表紙用のコピーを作りました。

僕はこの本のテクニックを読みながら、全てのテクニックでコピーを作ってみる、というのをやってその中から良いものを選ぶ、という方法を取りました。

2冊ともテクニックとしてはどちらもほぼ同じだったので、いったんキャッチコピー系の読書は終えました。

 

その時に出していたボツコピーはこんな感じです笑

「初期研修医が教わる内容を先取りしたい あなたに」
「国試勉強の休憩に、臨床のアドバンスドな解説が1問3分で読めます」
「ただの国試勉強は、研修医になってから役に立ちません」
「国試合格だけが目的の方は、読まないでください」
「語り出す!?耳より情報満載の国試解説」
「(初期研修医)<僕たちの時代にも、こんな国試の解説があればよかったのに!」
「コクシをクシして、実臨床の解説!」
「脳をコクシしない、語りかける国試解説」
「”国試の勉強は臨床に役に立たない” そんな声から生まれた臨床医による国試解説です」
「初期研修医1年目の春、指導医から教わる内容をギュッとつめて、国試問題に添えました」

 

 

そして、いったん表紙のデザインを終えたところで、

医学生ヤマさんが徐々にデザインの才能を開花させ始めます笑

コンセプトだった

「国試をベースに実臨床を語る、国試の勉強の休憩に読めるくらいの読みやすい医学書」

というところを汲んでくれて、読みやすいキャッチーなデザインにしてくれました。

これが2022年8月ごろです。

 

そしてレイアウトデザインが決まったら、

大量の文字原稿を編集し続けないといけなくなるので、

追加で医学生インターンを募集したところ、

2人目の医学生インターン、ビービー(仮名)が参戦してくれることになりました。

 

医学生ビービーが来てくれるようになったのが2022年9月

幸運なことにイラストをかける医学生だったので、

「国試で耳学問」にはたくさんイラストを盛り込む方針にしました!

↑この時に、こういった医師ごとの似顔絵イラストを作成してもらいました笑

この9月で、医学生2人と僕の3人で、レイアウトの原案を作り上げました!

 

そして、ここからは地味な作業が続きます。

そうです、大量の文字原稿をただただレイアウトに落とし込む作業です。

この作業を2022年10月〜2023年1月まで続けます。

 

また、確認事項の共有とモチベーションの維持のためにも、

2週間に1回は3人でオンラインミーティングを組みながら、細かいすり合わせを続けました。

 

2023年1月には、販売直前の業務として、

・筆者への最終確認と追記の依頼

・”はじめに”、”本書の使い方”、”奥付”、”裏表紙”の作成

を並行して進めました。

 

ちなみに裏表紙はこちら

電子書籍では誰も見ないであろう裏表紙もこだわってます笑

 

 

そうして、

本の内容として、国試を終えた医学部6年生が臨床を予習するのに最適だと思ったので、

医師国家試験の終了日である2023年2月5日に発売開始しました!

 

 

長かった・・・笑

でも、本を1から作成してみて、たくさんの学びがあり、ノウハウとしてもしっかり身につけることができました。

多分ですが、本を執筆したことのある医師は数多いると思いますが、

本を実際に自分で1から作った医師はほとんどいないのではないでしょうか笑

 

臨床をやりながら、博士課程での研究をやりながら、だったので大変でしたが、

全ての原動力は、

「本が好き」「医学書への感謝の気持ち」

でした。

 

だって、

医学書ってすごくないですか?

良い医学書が世に出回ると、その分全国の診療の質が上がって、

より良い医療に貢献できるんです。

学生に人気の「病気がみえる」シリーズも、かなりすごいと思います。

あの医学書のおかげで、何十万の医学生・看護学生・薬学部生の医学の理解が進んだと思います。

なので、そういった医学書を作ることには個人的な憧れがありました。

この1冊だけでなく、継続的に社会的に価値のあるような医学書を作り続けていきたいと思っています。

 

 

ただ、

当たり前ですが、まだほぼ売れていないので大幅な赤字です笑

今後も色々と本・医学書を作成していきたいなと思うので、

応援の意味でも購入してもらえると嬉しいです。

 

今回作った電子書籍は、アマゾン、note、医学書レビュー.comという僕が運営しているサイトの3つの経路で買えますが、手数料が全然違うので料金も変えています。

 

①医学書レビュー.comでは、980円で購入できます(pdfファイル)

リンクはこちら

 

②noteでは、1200円で購入できます(pdfファイル)

リンクはこちら

 

③アマゾンでは、1600円で購入できます(kindle)

 

 

 

それでは、長くなりましたが、1年間かけて作成した医学書の製作秘話でした。

 

いずれは全国の書店に並べてもらうことを夢見ながら、これからも地道に頑張っていきます!

 

布施田泰之

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