在宅医療・訪問診療まとめ

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在宅医療に関する、情報をまとめました。

開業を考えている方や、外来診療に加えて訪問診療を行おうと考えている方は参考にしてみてください。

 

「訪問診療所に求められる施設基準とは」
“どんなクリニックでも訪問診療を始めることは可能”ということを中心に様々な施設について述べています。大事なのは施設の状態によって診療報酬が変わってくるということです。

 

「訪問診療・在宅医療に求められる、医師の基準や資格とは」
訪問診療・在宅医療を行う上で、取得必須となる専門医はありませんが、地域医療や終末期医療に関する知識や経験などを学ぶのには、専門医の取得も考慮にいれる必要があるでしょう。

 

「オンライン在宅診療の適応や診療報酬とは」
オンラインメディア機器を利用したオンライン在宅診療の業界はまだ黎明期にあり、実施可能な診療行為がかなり限られています。しかしながら、オンライン診療自体のガイドラインは毎年変わっていく予定であり、今後の適応拡大も期待されるところです。初期の段階から適切な情報をキャッチアップしていくことが重要であると考えられます。

 

「医療者が知らない介護保険の仕組みや適応、サービスの内容などまとめ」
医療者にとっても無縁ではない介護保険の世界について、そのおおまかな仕組みを解説しました。
特に、訪問看護については、介護保険と医療保険が交差する領域であり、医療者側にとってもキチンとした理解をしたうえで、医療福祉連携を推進することが重要であると考えられます。

 

「ケアマネージャーの仕事とは」
在宅医療を実践するうえで、2人3脚の関係性を築かなければならないであろう、ケアマネージャーの仕事について解説しました。
医療福祉連携というキーワードを言うのは簡単ですが、実践するのは中々難しいのかもしれません。

 

 

【なぜいま在宅医療なのか】

現在、日本の医療業界に求められていることの一つとして

「医療資源を適所に配置すること」
あるいは
「病態に見合った医療の場を提供すること」

が挙げられるかと思います。つまり、

「80歳男性 急性期病院にて肺炎を抗生剤加療し治癒したが、認知症があり独居の自宅に退院するのは難しく療養型病床を探しているうちに入院期間が3週間程度になってしまった。」

というような状況を減らしていく必要があるのです。
このような状況下では、高度な医療を提供するための労働力や病床などの医療資源が最適ではない形で消費されていると言えるでしょう。
病態に見合った医療の場を提供することで、在院日数の短縮・医療費の削減を行っていかなければ、今後も増えていく高齢者を生産人口で支えていくことが難しくなってしまいます。

上記の男性で考えれば、急性期病院に入院している必要はなく、たとえば介護保険サービス+訪問看護+訪問診療などを導入しながら、自宅退院が可能であったかもしれません。

 

 

 

きたる2025年には団塊の世代が75歳を超える後期高齢者となり、日本社会は超高齢化社会の象徴的な段階に差し掛かります。

それに対して、日本国の方針は病床数を増やして入院環境を整えるのではなく、不必要に入院日数が増えたり、医療が過剰にならないように継続的に病床数を減らしていくことで国の医療費を削減する方針をとっています。

これまでは惰性で伸びていた急性期病院での入院日数を、病院・診療所ごとの役割をより一層はっきりさせ、また連携を強化することによってますます短くしていくことを至上命題としているわけです。

そうして、急性期病院から引き算された入院日数を今後支えていくのが、回復期病床であったり在宅医療になるということなんです。

また、急性期病院の入院日数ということにとどまらず、在宅医療が地域で充実することによって「不必要な救急搬送」に伴う医療費の増大も防ぐことができるのではないかと考えられます。

ご本人やご家族が「どうして良いかわからない」という理由から救急要請をされても、いざ病院に搬送されると特別な処置は必要ない、というような状況は想像に易いかと思いますが、こういう時には在宅医が電話対応や臨時往診を行うのが適切な医療資源の使い方であると考えられます。

三次救急医療機関などでの高度な治療が必要な時に備えて、救急隊や救急医の労力を適切な場所で発揮してもらえるような環境整備が必要であると考えられます。

 

 

今後も増え続ける高齢者を、これまでのように急性期病院中心の医療で支えようとすれば破綻してしまうことは目に見えて明らかでしょう。在宅医療の拡充を図らなければ、治療の場を失った高齢者が国中に溢れかえるという状況が確実に訪れてしまうのです。

すべての人には、望む場所・望む形で医療が提供されなければなりませんし、また各人の最期の時についても、望む場所・望む形で迎えることが出来るよう、医療を整備しなければなりません。

そのために在宅医療が手助け出来ると、これを探し続ける必要があるでしょう。

 

川良健二

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