今働いている武蔵野赤十字病院の総合診療科では、
僕は2人で構成された小さなチームの一員として仕事をこなしている。
卒後3年目の先生と僕で、7人ほどの入院患者さんを診ている。
でも、卒後3年目の上の先生は僕より多くの仕事が割り振られているため全然時間がない。
なので、基本的には僕が病棟の入院患者さんに会い、話をし、身体所見をとる。
病棟の雑用も上の先生に回らないようしっかりこなす。
そうして、時間がある時に上の先生に患者さんの病状や検査結果を報告し、治療方針を話し合っていく。
上の先生は1日に1回も患者さんに会えないことがあるが、
その代わりに僕が患者さんの元へ足を運ぶようにしていた。
そうしているうちに、僕は患者さんとどんどんと仲良くなっていった。
総合診療科の患者さんは諸事情あって年配の方が多い。
そして、僕はどうやらおじいちゃん、おばあちゃんに愛されるキャラのようだった。
僕が顔を見せるだけでみんなパッと笑顔になり、話が止まらなくなる。
「先生は、ボーリングはされますか?」
「布施田先生は福井出身なんですね」
「布施田先生に刺してもらった点滴のくだ、大事に使ってますよ。また刺されないようにね」
「先生に診てもらって幸せですよ。先生の言うことなら何でも聞きますから」
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そんな患者さんたちにも、待望の日が訪れる。
「退院の日」だ。
ほとんどの人が笑顔で病院を去っていく。
寂しがり屋の僕は、 毎回「元気でね、またね」という言葉を発しそうになって、飲み込こんでいる。
(よく考えるとまた僕に会う時って、患者さんがまた病気になった時なんだよな。)
多分医者って、「またね」って言葉を気軽に使っちゃいけないんだ。
だからそんな時、
僕はイタズラに笑ってこう言うようにしてる。
「おばあちゃん、もうこんなところ来ちゃダメですよ。お元気でね」
なんかめっちゃツンデレ・・・・・・笑
↓優しさの余りツンデレになってしまってる僕の応援お願いします笑