「小児感染症の診かた・考え方」「小児感染症のトリセツ」がとてもオススメなので感想書くよ

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どうもお久しぶり、次郎作こと布施田泰之です。

 

今年の5月、

ある2冊の参考書に出会い、衝撃を受けました・・・

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2018年4月に小児科後期研修の道に進んだ僕は、

「小児の感染症について勉強になる本がない!!!」と悩んでいました。

 

頸部リンパ節炎や眼窩蜂窩織炎、骨髄炎など、

小児科領域で特に問題になる疾患や、

肺炎や中耳炎など、大人と少し疫学や対応が違う部分について、

まとまって勉強できる参考書があまりありませんでした。

 

おのおのが、uptodateを参考にしたり、先輩方がまとめたスライドを参考にしたり、

成書と呼ばれる小児感染症分野の教科書を読んだり、勉強のために手間が必要でした。

しかも、すぐ忘れてしまいます。

 

そんなところに、

2018年11月15日

”小児感染症の診かた・考え方” 発売!

小児感染症の診かた・考えかた

 

2019年4月20日

”小児感染症のトリセツ remake” 発売!

小児感染症のトリセツREMAKE

 

 

ものすごくためになる参考書が、

それも相次いで2冊も販売されたのでした!!!

この2冊が世に出てから、後期研修医になりたかった!!!

 

 

初期研修医からこれまで200冊ほどの参考書をこのブログで紹介してきましたが、

まだ10冊程度にしかつけていない星9つ以上の評価を、

2冊同時に獲得していったのです!!!

 

本当に小児科の後期研修医ですら、この2冊をすべて完璧に理解して覚えておけば、優秀と評されるレベルに引き上げてくれます。

小児科志望の子が初期研修時代にこの参考書を読み込んでおけば、後期研修1年目の春に相当レベルが高い状態で望むことができると思います。

 

読んでいて、内容にわくわくしながら「勉強になる勉強になる」と、読み進めたのは久しぶりです。

なので、絶対いつかこの2冊を紹介する記事を書かないとと思っていて、やっと記事にすることができました。

 

2冊ともとてもいい参考書なので、理想は2冊とも通読して読み込むのがいいと思いますが、

ある程度内容に特徴があるので、1冊ずつ感想を書いていこうと思います。

 

 

”小児感染症の診かた・考えかた”

・10段階評価

★★★★★★★★★★

・読み返し度

★★★★★

・感想

2冊ともよい参考書なのですが、個人的な好みでこちらの方が星10個の満点の評価をしています。

参考書200冊中、確かまだ2−3冊にしかつけていなかった満点をここでつけました。

トリセツ同様に、抗菌薬の1つずつの特徴や、肺炎・中耳炎・蜂窩織炎など項目ずつの解説もしっかりしており、全体的に分量も多いことからトリセツよりも詳しいです。

またchapter4に書かれている「月齢による発熱の対応の仕方」に関しては、

救急外来で悩むことや、自分の中でしっかりとしてルールにできていなかった部分をしっかり説明してくれていて、

さらに自分の診療をブラッシュアップすることができました。

「この年齢層では呼吸器症状がなくてもoccult pnuemoniaを疑ってX線をとる」など、ちゃんと決められている人はどれだけいるでしょうか。

Hibや肺炎球菌のワクチンは何回打っていれば予防効果を期待してよいか、など個人的に疑問に思っていたことにズバリ答えてくれてとても勉強になりました。

小児でよく問題となる、肺炎や尿路感染症についての解説や、抗菌薬ごとの説明に関してもある程度しっかり勉強していたはずですが、それでも知らない役に立つ知識がまとまっており、目から鱗でした。

 

イメージでいうと、トリセツよりもより”考え方”の部分に重点をおいてくれている印象でした。

小児科後期研修の方は、絶対買って読んでください。

 読んでないだけで周りと大きな差が出来てしまいます。

 

 

 

“小児感染症のトリセツ remake”

・10段階評価

★★★★★★★★★☆

・読み返し度

★★★★★

・感想

こちらも小児科であれば絶対読んでもらいたい一冊です。

基本的な項目立ては、ほとんど小児感染症の診かた・考え方と同じで、違いは「風邪の診かた」「発熱へのアプローチ」の項がないくらいです。

こちらの良さは「抗菌薬の投与量と投与期間を明記している」ところです。

先ほどの本と違い、当直の時などに「あれ眼窩隔膜前蜂窩織炎って何の抗菌薬だっけ?何日間予定だっけ?」などとちょっと調べるのに使いやすい内容とレイアウトとなっています。

また、書かれている内容も上の本とかぶっていることもあれば、こっちのほうが詳しいこともあるので、比較しながら読むと面白いです。

特に感染性心内膜炎などは、

 トリセツ:小児はエコーウィンドウが広く、経胸壁心エコーの感度が成人に比して高い(80%)

診かた・考え方:小児における経胸壁心エコーの感度は25〜50%で、成人よりも感度が低く、さらに複雑心奇形になるほど心エコーの感度は低くなります

と書いてあり、いってることが全く逆です笑

やはり文献や参考書は1つにしぼらず、最終的には自分で何を正しいと考えるかは決めていかないといけないと思います。

 

 

以上、1冊づつの感想でした。

印象としては、

小児感染症の診かた・考え方の方が老練な小児感染症科医が書いている印象、

トリセツの方が若い勢いのある小児感染症科医がコンサルタントとして書いている印象、でした。

ぜひ、小児科後期研修医の方は買って読んでみてください!!!

 

日本の小児の感染症治療を底上げするためには、絶対記事に書かないと、と思っていたので、

やっと書くことが出来て、とても満足です。

そんな使命感を燃やさせるくらい良い参考書でした。

 

それでは、また衝撃を受けるような参考書があれば、個別でも記事を書こうと思います。

 

布施田泰之

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