タイトル
“Randomized trial of early infant formula introduction to prevent cow’s milk allergy.”
Sakihara, Tetsuhiro, et al. Journal of Allergy and Clinical Immunology (2020).
原文はこちら
論文を一言でまとめると
日本の沖縄の4施設で行われたランダム化比較試験によると、
生後1-2ヶ月の間に少量の牛乳を毎日摂取させると、
生後6ヶ月時点での乳アレルギーの発症を予防することができる
Methods
[場所/施設]
日本の沖縄にある4施設
[Patients]
在胎35週以上かつ出生体重2000gを満たす合併症のない児で、生後1ヶ月の時点で母乳で育ち乳アレルギーのない児
[Intervention]
生後1ヶ月から3ヶ月までの2ヶ月間、母乳栄養は推奨しながら牛乳を10ml/day以上摂取する
[Comparison]
基本的に母乳栄養、必要時に大豆ベースのミルクを追加する
[Outcome]
生後6ヶ月時点での乳アレルギー (経口負荷試験で陽性)
[デザイン]
非盲検のランダム化比較試験
結果まとめ
↑Journal of Allergy and Clinical ImmunologyによるGraphical Abstract
(オープンアクセス により、原著より引用)
・2017/1/1〜2019/8/31に518名が登録され、最終的に492名がランダム化割付の対象となり、介入群243名、対照群249名に割り付けられた。
・そのうち462名(93.9%)が、生後6ヶ月時点での経口負荷試験までフォローされた。
・介入群の89.9%が20日/month以上牛乳を摂取しており、対照群の83%が20日/month以上牛乳を摂取していなかった。
・結果は、6ヶ月時点での乳アレルギーが介入群では2名/242名(0.8%)、対照群では17名/249名(6.8%)と、介入群で乳アレルギーの発症が少なかった。per-protocol analysisでは、介入群0名/204名、対照群17名/195名(8.7%)であった。
(原著、より引用)
・以上より筆者らは、生後1-2ヶ月での少量の牛乳の毎日の摂取により、乳アレルギーの発症を予防できる可能性が示され、それは母乳栄養の推進と競合しない形で行うことができる、と述べた。
[Limitation]
・盲検化出来ていない
・生後6ヶ月での経口負荷試験を、診断精度の高い二重盲検化食物負荷試験で行っていない。
[読んだ感想]
・日本からのRCTが、JACIというアレルギー・免疫学で有名なジャーナルに載ったということで読んでみました。
・母乳栄養に並行しながら少量の牛乳の摂取を続けると、乳アレルギーを予防できる可能性が示されており、とても臨床的にも価値が高い論文だと思いました。
・個人的にMethodsでそこまで引っかかる点もなかったです。
・この多施設のRCTはどういった先生が率いていたのか、気になります。