タイトル
“Telemedical Asthma Education and Health Care Outcomes for School-Age Children: A Systematic Review.”
Culmer, Nathan, et al. The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice (2020).
原文はこちら
論文を一言でまとめると
検索によりリストアップされた408論文から、基準に沿って選んだ5つの論文によると、
学童期の喘息患者に対する遠隔での喘息教育は、
QOLや症状への対応力の向上や、症状による負担の軽減などに対し、
有用(〜変化なし)という報告がみられた。
Methods
[文献検索]
検索先:CINAHL, Embase, PubMed, Scopus databases
検索ワード:”asthma” “education” “pediatrics”
検索日:2018/10/19
[文献の選択基準]
Inclusion criteria:学校単位、対象の年齢が5-18歳、遠隔での喘息教育が含まれている、気管支喘息が第一か第二の変数として扱われている、実証実験のデザイン、査読ジャーナルに掲載された論文、英語で利用可能
[文献からのデータの抽出方法]
以下に関係する情報を抽出した
研究対象者の情報、研究のデザイン、研究の特徴、喘息教育に使われたカリキュラムツール、臨床的結果、教育の結果、介入に対する満足、喘息の自己管理、自己効力感、喘息の知識の習得
[デザイン]
システマティックレビュー
結果まとめ
・文献検索で408個の論文が抽出され、文献の選択基準に基づき取捨選択され、最終的に5つの文献が残った(3つがランダム化比較試験、2つがコホート研究)
・集まった論文の特徴としては、2001-2018年にアメリカで行われた研究であり、対象者の数は27人から400人であり、年齢は3-17歳で、男性が多い/African Americanが多い/低所得の家庭が多い、などの偏りがあった。
・臨床的所見としては、1つの論文で気道の炎症の低下(呼気NO濃度測定検査 mean difference 5.54 parts per billion [95% CI, -9.8 to -1.3])を認め、その他呼吸機能検査では3つの論文で差を認めなかった。
・3つの論文が症状なしの期間を評価しており、1つのRCTでは14日のうちの症状なしの期間が0.69日(95% CI 0.15-1.22)長くなったが、1つのRCTでは有意差がなく、もう1つのコホート研究では7日間のうちの症状なしの期間がベースで2.35日だったのが介入後は4.31日と有意差(P < .05)を持って長くなっていた。
・自己対応力については、1つの論文では吸入器具の使い方の改善があり(P < 0.001)、1つの論文ではピークフロー測定器の使い方の改善(P < .01)や喘息治療の道具への責任感が改善を認めた(P = .03)。
・QOLに関しては、2つの論文でChildren’s Health Survey for Asthmaという質問表で評価しており、1つの論文では身体的な健康と子供の活動性の改善を認め(各々、P = .009, P = .008)、1つの論文では、家族の活動性の改善(P = .02)を認めた。
・以上の結果をまとめた上で筆者らは、学童期の遠隔での喘息教育の効果について結論付けられるほどのデータがなく今後のさらなる研究を要する、と述べた。
[Limitation]
・論文ごとに測定項目が異なっており、比較が難しい。
・costが削減されるかなどの金銭の面の情報がない