2021年度 東大MPHの合格の際の面接内容と対策方法を書くよ

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こんにちは、次郎作こと布施田泰之です。

珍しく、2連続で記事を書こうと思います。

理由としては、

今年のSPH合格者のブログ紹介

という記事でこのブログが紹介されてしまったからです笑

 

東大SPH受験界で一番有名な「東大SPHを目指す貴方へ」というブログなので、

ヤバイ、はやく役に立つことを書かなきゃ!

と焦ったわけです笑

 

前回の記事では、提出書類の小論文と活動報告書を全公開しました笑

2021年度 東大MPHに合格した提出書類の内容を公開するよ

 

今回の記事では、

面接で実際に聞かれた質問と、

僕が答えた内容(のニュアンス)を大公開しようと思います!

 

それでは、いきます!!

 

【面接質問内容】

・最初に、志望動機と小論文の内容を3-4分で
僕がこの東京大学の公衆衛生学修士の大学院を受験した理由は、元々医師を志した時から将来は国際保健・公衆衛生の分野に進もうと決めていたからです。
 そのため臨床経験は5年間と決めておりましたので、来年1年間は今後の自分のスペシャリティや進む道を決めるために、統計や臨床疫学、社会学や健康教育学など、病院で働いているだけでは学ぶことの出来ない幅広い分野を勉強したいと思っています。
 国際保健の場で活躍するために前提の知識として公衆衛生学を学びたいと考えておりましたが、特に最近では5年間の臨床経験を経て、政策決定に関与するようなビックデータを用いたエビデンスの創出や研究デザインについても興味があり、臨床疫学について深く勉強したいと思っています。
 そのための勉強の場として、各研究室が一丸となって教育体制を敷いているこの東京大学の公衆衛生学修士のコースが理想的と考えて、今回受験させていただきました。
 
・小論文の内容について説明 1.5分
 小論文では、小児科医として働く中で感じた課題である「小児科の外来では、軽症患者への対応が多く、診察すべき疾患に医療資源を投入できていないのではないか」という点を問題点として論じさせていただきました。
 3つの論点から議論させていただいており、
 1つ目の論点としては、診療報酬制度です。軽症患者に数分診療を行い収益化している小児科外来が多く、保険点数自体がそういった診療を促進している可能性があります。そのため、保険点数の決め方について改善する余地があると思います。
 2つ目は、子供における医療費無償化に関してです。ここ10年ほどで日本での子供の医療費の無償化が進みましたが、多くの小児科医が実感しているように、実際に文献上も医療費が無償化されると、外来受診回数が増えたり処方による薬剤費が増えたりすることが示されております。無償化自体が悪いと言うわけではなく、医療制度を大きく変更する場合には、その後にエビデンスを作ったり変更後のアウトカムの再評価を行える形で導入することが大切だと考えています。
 最後に、根本の問題として患者教育の問題があります。近年「風邪に抗菌薬は不要」ということが患者側にも周知されてきて臨床の現場が変わってきていますが、同様に次は軽症時の受診の目安や自宅での過ごし方についての情報提供して、受診行動の適正化を測っていくことが肝要になってくると思います。
 以上3つの論点から、原因や介入点を論じさせていただきました。
 
 
[小論文の内容に関して]
・小論文で挙げた3点で、特に自分が介入できる点や今後の考えなどありますか?
 はい、自分が介入できる点としては「患者教育」になると思います。
 実際に、医学書院と一緒に外来で使用する患者説明用のハンドアウト作成をしていて、説明が不足しがちな内容に関しての説明や、受診や検査のタイミングについて書いてお渡し出来るように作成しています。
 臨床医として出来る接点となると、そういったところになると思います。
 
 
佐々木先生
・今のお話を聞いて、受診行動を適正化するために「外来で教育を行う」ということは少し矛盾していませんか。
 はい、本質的には矛盾していますが、小児科は受診がとても多いので次回の適正な受診タイミングをお伝えすることは大切だと思います。
 ただ、理想的には病院に来る前の段階で介入するのが理想だと思います。
 
・病院に来る前に介入する方法として、どう言ったことが考えられますか?
 僕はサイトを作った経験があるので、
 患者が症状を調べた時に、小児科医として信頼できる情報を発信すること出来ると思うし、大切だと思います。
 
川上先生
・2点目の「子供の医療費無償化」についてですが、現在の子供に優しくして少子化を防ごうという流れと医療費の話は対立してしまうと感じたのですが、いかがでしょうか。
 確かにランド医療保険実験でも、医療の自己負担が減ると医療費は増えているのですが「健康への安心」は高いという結果となっていて、難しい問題だと思っています。
 なので、今回の提案は医療費を無償化はダメということではなく、小論文でも書いた通り、医療政策を導入する時にアウトカムを評価できる体制で導入することが大切ではないかと思っています。
 
・入学して学びたいことに、統計学・臨床疫学・健康教育学などを挙げていましたが、そのほかに勉強したいことはありますか?
 はい、僕は小児科医として「貧困が子供の健康に与える悪影響」や「社会格差が子供に与える悪影響」などに関して、どこまでデータがあるのかや、介入はできるのか、などを勉強したいと思っていたので、そういった分野に関しても学んでいきたいと思います。
 
・SPHを卒業後の進路について教えてください。
 (博士課程に進む可能性があることを示唆しながら回答。個人的な話すぎるので内緒です笑)
 
・統計学に関して勉強してきたことはありますか
 医療統計に関する本を3-4冊と統計ソフトStataを用いた多変量解析を行なって、現在論文を執筆中です。
→司会の先生「それじゃあ、もううちで勉強することないね」
→教授みなさま「ワハハハハ」
 
 

 

以上!

こんな感じでした。

最初は、議論をする感じで色々聞かれましたが、

途中からどんどん教授たちがいい感じの反応になってきて、

「これ合格でしょ」という感触のまま面接は終わりました笑

15分予定でしたが、10分程度で終わりました。

 

また、面接の準備として、各々の教授の専門や興味関心を掴むために、

教授陣が執筆した本を、いくつか読んだのでご紹介します。

 

まずは、東大MPHオールスターズが執筆したこの本です!

一応全部通読しましたが、教科書っぽいしっかりした内容なので結構眠くなりました笑

しかし、知的好奇心はくすぐる内容も多かったです。

 

あとは、研究室で志望しようと思っていた臨床疫学の教授の康永先生の本は、普通に今書いている論文などにもためになるので、多めに読みました。

CQやRQに関してや、統計用語についてなど、臨床研究の基本的な部分を解説してくれています。

康永 秀生

ちょうど英語で論文を書いていたところなので、とても勉強になりました。

そのまま拝借出来るような表現も多く載せてくれているので、また書きながら参照させてもらおうと思いました。

差分の差分析やプロペンシティスコアマッチングなど、少し通な感じのMethodsに関しても解説してくれていて、この3冊の中では一番勉強になりました。

少しマニアックな内容になる気がします。

 

栄養疫学でとても有名な佐々木敏先生の本はこちらを読みました。

疫学や統計学の基本的なことから始まり、

生活習慣病のエビデンスや栄養疫学で重要なデータの取り方・その難しさ、などについて解説された本でした。

1冊でかなり満足度の高い内容になっています。

 

東大MPHの教授陣が書いている以上の5冊を読みました。

 

そのほかに、受験のためにこれらの本も読みました。

新型コロナウイルスの対応で有名になった尾身先生の本です。

尾身先生がWHOに入ったのが40歳ということを知って、僕もまだまだ専門性を磨こうと考えるようになりました。

 

これは知人からの勧めで2年前に読んだことがあった本ですが、

「EBPM」の考え方を聞いて思い出して読み直しました。

すでに国際保健の場では、医療だけでなく教育などに関してもRCTなどでエビデンスを創出しようという流れがあったのだな、と思いました。

 

これは本当に神本でした。星10個です。

医療政策に興味がある人は絶対読み込むべき本です。

内容は専門的ながら、極めて興味深く、それでいて平易な文章でとても読みやすいです。

少なくともこの記事をここまで読んでいるあなた!は絶対読むべき一冊だと思います。

 

以上3冊が、受験に際して読んだ本になります。

 

 

あとは、事前に想定質問集として回答を用意しておいた内容は以下になります。

[予想質問]
・この東京大学SPHを受験した志望動機 1.5分
 
・なぜ他のSPHではなく、東京大学のSPHを志望されたのですか?
 
・小論文の内容について説明 1.5分
 
・SPHを卒業した後の進路について詳しく教えてください
 
・東大SPHで特に学びたいことはありますか。
 
・研究室について興味があるのはどこですか
 
・執筆中の論文の内容について
 
・執筆中の論文の進捗について
 
・「小児の遠隔医療相談」の研究について説明してください
 
・ガーナ/留学はどういったことをしたのか
 
【活動報告書を読んで質問】
・「新型コロナウイルス」のサイトはどういった経緯で始めたのですか?
 
・医学書院からのハンドアウト作成の依頼はどのようにしてきたのですか?
 
・その論文で用いた統計手法について/Methodについて説明してください
 
・実際、英語の能力はどれくらいだと考えていますか?
 
・一番直近で英語の試験を受けたのはいつで、点数はどれくらいでしたか?
 
・フィラデルフィア 小児病院ではどう言ったことを学びましたか?
 
・英語論文はどれくらい読んできましたか?この頻度はどういう風に決めたのですか?
 
・成績としては教養時代の物は低いですが何故ですか?化学が点数が悪いのは何故ですか?
 
【小論文を読んで質問】
・私(康永先生)の論文を引用していますが、簡単に要約してもらえますか?
 
・ランド医療保険実験の結果を簡単に教えてくれますか?
 
・Evidence based policy makingについて知ってることを教えてください
 
【面接として聞かれる可能性があること】
・「社会と健康」の内容で興味深かったことはありますか
 

 

以上が、個人的な想定質問集です。

 

 

これで、今回の書類審査+Web面接の内容と僕が行った対策の全てになります!

 

さすがに、小論文の中身などを公開しているブログはこれまでなかったので、

少しは役に立つかなぁと思います。

 

今回、大学受験ぶりに、倍率が5倍もある入試を受けて、

合格することができてよかったです。

 

ただ、合格と同じくらい、

面接対策の一環として、

「もう一度自分のキャリアを見つめ直して、MPHで何を学んで、その後どういったことをしたいのか」

を考え直すことができて、よかったと思っています。

 

今の自分の興味や、これからやっていきたいことがとても明確になりました。

 

おかげで、今後の人生の方針がある程度固まってきたので、

今後の目標に向かってまだまだ走り続けようと思います!

 

今後も、このブログは更新し続けようと思うので、

応援よろしくお願いします!

 

 

布施田泰之

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