タイトル
Radiation exposure from CT scans in childhood and subsequent risk of leukaemia and brain tumours: a retrospective cohort study
Pearce, Mark S., et al.The Lancet 380.9840 (2012): 499-505.
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論文を一言でまとめると
小児において、CTで50mGy被ばくすると白血病のリスクが3倍に、60mGy被ばくすると脳腫瘍のリスクが3倍になり、絶対リスクとしては頭部CT1万回あたり白血病1例、脳腫瘍1例が過剰に発生する(10歳未満、撮影後10年間)計算であることが示された。
Methods
[場所/施設]
イギリスのNational Health Serviceセンター病院81施設
[Patients]
初めてCTを受けるがんの既往がない22歳未満の患者
[Intervention]
CTを受ける
[Comparison]
CTを受けない
[Outcome]
白血病および脳腫瘍の発生
[デザイン]
後ろ向きコホート研究
結果まとめ
・白血病解析では178,604人、脳腫瘍解析では176,587人が対象となった。
・CTによる被ばく量と白血病の過剰発生には1mGy当たりの過剰相対リスク比0.036[0.005-0.120;p=0.0097]、脳腫瘍では0.023[0.010-0.049;p<0.0001]と正の相関関係を認めた。
・5mGy以下の被ばくの患者と比較して、30mGy以上(平均51.13mGy)被ばくした患者で白血病の相対リスクは3.18[95% CI 1.46-6.94]、50-74mGy(平均60.42mGy)被ばくした患者で脳腫瘍の相対リスクは2.82[95% CI 1.33-6.03]であった。
・ただ、これらのがんはまれであり絶対リスクにすると、10歳未満の患者において撮影後10年間で、頭部CT1万回あたり白血病1例、脳腫瘍1例の過剰発生と推定された。
・以上から筆者たちは、絶対リスクは大きくないため臨床的なメリットが重視されることが多いが、過剰な被ばくは避けるべきである、と述べた
[Limitation]
・評価された集団の80%以上が白人であったために、他の民族にも適応できるかは不明である。
・CTが撮影された理由は不明であり、白血病や脳腫瘍に関連してCTを撮影された可能性があった。そのlimitationを解決するために、白血病診断の2年前以降と脳腫瘍診断の5年前以降に初回CTを撮影された患者は除外するデザインとなった。
・単純X線検査などの他の被ばくに関するデータは得られなかったが、CTと比較すると線量が小さいため、大きなバイアスを生じている可能性は低いと考えた。
[読んだ感想]
ある程度きれいな量反応関係が出ていますね。
交絡因子の補正などはされていませんが、筆者たちはこの関係を持って因果関係の証明としているみたいです。
これまでなかなか証明もリスクの見積もりもできていなかったジャンルなので、こういう論文は価値が高いのだと思います。
日本のデータではできないのかなぁ・・・