宇宙兄弟というマンガがある。
実写映画化されたことから聞き覚えのある人も多いだろう。
プーケットでの一人旅中、市民の足のソンテウと呼ばれる乗り物を使ってプーケット内を移動した。
ソンテウとは簡単に説明すれば、トラックの荷台に屋根がついていて、その荷台に乗り込むような乗り物だ。
僕はそのソンテウに揺られながら、なぜか、宇宙兄弟の1シーンを思い出していた。
4年ほど前に読んだシーンであったが、いまだに覚えている。
なので、今回はその1シーンを記憶を辿り辿りではあるが、紹介させてほしい。(多少、実際の内容と齟齬があっても許してください)
まず、宇宙兄弟というマンガは、宇宙飛行士になることを約束した2人の兄弟、兄の六太(ムッタ)と弟の日々人(ヒビト)とが織りなす物語である。
しかし、実は1巻ですでに弟日々人は宇宙飛行士になる夢を叶えている。
そう、つまりこのお兄ちゃんの六太がマンガの主人公なのだ。
兄六太がJAXAの宇宙飛行士の選抜の試験を受け、合格し、
ヒューストンで宇宙飛行士候補生の訓練を受けて、
宇宙飛行士になる夢を叶えていくストーリーである。
そのヒューストンでの訓練の中に、チーム5人でロボコンのようなものに参加する場面がある。
所持金500ドルで、ロボットの材料を買うところから始まり、ロボットの構造を考えて、最終的にはそのロボットに自動操縦のプログラムを書き込むところまで行う。
その初めの段階で、チームは材料を500ドルいっぱいいっぱい使って買おうとする。
そこで、主人公が一言つぶやく
「だめだ。それじゃ失敗できない」
一見、マンガの主人公らしからぬ、弱気な発言のように思える。
チームメイトは言い返す。
「いつになく弱気じゃねぇか」
すると、主人公はこう返す。
「少なくとも1回は失敗できるようにしたほうがいい。
お金のかかったものがいいものだとは限らないが、
一回失敗して、それを乗り越えたものは絶対いいものだ。」
このシーンを読んで、僕は衝撃を受けた。
この流れでその発想があったか!と。
どうやら、技術者には当たり前の考え方らしいが、
それでもマンガでありがちな、イチかバチかに賭けてその賭けに勝つ!的な展開ばっかりを読んできた僕にとっては斬新であった。
その1シーンをソンテウに揺られながら、なぜか思い出していたのだ。
そして、このシーンには続きがある。
後日、ロボコンの指導教官に、
この時の発言をとりあげられて言及されると、
主人公は一言付け加える
「いや、失敗っていっても、本気でした失敗に限るよ」
「宇宙兄弟」オススメです。借りたい方は僕まで連絡ください。
次郎作