福井のニートは「上京」の夢をみる 第三話「そして東京へ」

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次郎作こと、布施田泰之です。

「福井でフリーターするより、東京でフリーターしたほうがかっこいい」

その一言と共に上京してきた友達の体験談を書いてもらいました。

面白いので第一話から読んでみてください。

第一話「就職のその後」

 


 

僕は、新卒1年目にして2度会社を退社していた。

2社とも期間は1ヶ月。

僕が社会に適合できるのは、1ヶ月だけみたいだ。

 

そこで僕は、一旦就活を辞め、バイトをスタートさせた。

焼肉屋さんと、デパート内のレストランだ。

日中は、デパートに買い物に来るマダムを相手に料理を運び、夜は仕事帰りのサラリーマンや学生を相手に焼肉を提供する日々を送っていた。

 

そんなある日、電話がかかってきた。

相手は、1ヶ月ほど前、転勤で東京に行っていた友人だった。

近況を聞かれたので、毎日焼肉を提供していることを伝えた。

 

「それはよかった」

彼は満足してくれた。

 

話を聞くと、東京は楽しいみたいだ。

福井とはまるで違うと力説された。

 

そして

「東京来いや」

急なお誘いを受けた。

 

「こんな軽いノリで誘われて東京いく奴いるのかよ。」

お誘いを受けた時の僕の心境である。

 

 

 

翌日、僕は荷物をまとめていた。

 

バイト先に辞めることを伝えに行くと、もちろん理由を聞かれたので、

「就職が決まりました。」と伝えた。

 

店長は微笑んだ。

本当は、就職が決まったんじゃなくて、東京行きが決まったなんて僕には言えなかった。

 

出発前、ATMに行き全財産を確かめに行った。

 

7万

 

全財産7万を握りしめ、僕は夜行バスに乗り込んだ。

もちろん、東京へ行っても仕事も住む場所も何も決まっていない。

少し不安もある。

そんな不安をよそに、バスは新宿へと走り出した。

 

この東京行きのバスがきっと輝かしい未来に連れて行ってくれるはずだ。

真っ暗な車内で、僕はそっと目を閉じた。

 

第四話「テラスハウスに憧れて」

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