医療者が知らない介護保険の仕組みや適応、サービスの内容などまとめ

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photo by clickr

 

今日は、訪問診療とは切っても切れない関係である介護サービスについてまとめてみました。

患者さんの在宅支援を行ううえで、医療と介護の二本柱が患者さんを支えていることから、お互いのことをきちんと理解し合うことが非常に重要であると考えらえます。

 

介護認定保険サービスの適応とは

つまり、65歳以上であることをメインとして、その他にも40-64歳の方で、かつ介護的必要度が高い方(参照:介護保険制度「特定疾病」の16種については介護保険が使えますよ、というのが主な仕組みになっていると考えれます。

40歳未満の方については、いかなるADLであっても介護保険が適用されることはありません。

 

介護保険は現物支給

以下に、各介護必要度ごとの保険支給額をお示しします。


厚生労働省HPより

 

ここで気を付けなければいけないのが、

介護保険は現金給付ではなく、現物給付であるということ

 

言い換えれば

 

介護保険で、上記額の現金を受け取るわけではなく、上記額一杯までは、1割の自己負担金で介護保険サービスが利用できるということになります。
(一定の所得を持つ方については2割・3割負担となることもある)

 

「介護サービス」という現物を、これまで払っていた介護保険料の代わりに受け取るということですね。

ただし、万が一受ける予定のサービス合計利用額が限度額を超えてしまった場合、その分については保険が適応されず、全額負担となってしまうため、その際には要介護度の見直しなどが必要となるかもしれません。

 

具体例を示すとすれば、

要介護3の方が200,000円分の介護サービスを利用した場合、負担する額が20,000円となります。

一方で、300,000円分のサービスを利用した場合、負担する金額は

269,310 × 0.1 + (300,000 – 269310)
= 1割の自己負担金 + 限度額超過の全額負担金

となります。

 

ただし、実際にはケアマネージャーの方々が入念なケアプランの作成・修正を繰り返し、限度額をなるべく超過することのないようにしていますし、あるいは要介護認定の区分変更申請というものもあります。

様々な社会資源を上手に使いながら、なるべくご本人・ご家族の負担を軽くしつつ在宅支援を継続していくことが非常に重要となるでしょう。

介護保険を使って受けることのできるサービス一覧についてはこちらをご覧ください
公表されている介護サービスについて

 

訪問看護の提供元は介護保険/医療保険の2種類がある

訪問看護サービスは、患者さんのご状態次第で介護保険を適用して行われるものと、医療保険を適用して行われるものの2種類があります。

介護保険には利用限度額が設定されているので、もし訪問看護を医療保険の適応で利用できるのであれば、その浮いた分を介護保険の別サービスに使用することが出来るとも考えられますね。

繰り返しになりますが、限度を超えて提供された介護サービスについては全額自己負担となるため、それは避けるために医療保険の訪問看護が重要となる場合があるということです。

 

ただし、これが重要なポイントですが、医療保険・介護保険、どちらの適応で訪問看護を行うかは自由に選べるわけではありません。

介護認定を受けている人については、原則として介護保険を利用した訪問看護が適用されます。

もしも、限度額を超えて適用されそうになった訪問看護サービスがあったとしても、それを医療保険で賄うことはできず、全額自己負担での提供となってしまいます。

 

医療保険の訪問看護は、利用頻度の高い患者さんに適している?!

さて、次に医療保険の訪問看護について、その適応基準を示します。

① 介護保険の認定を受けていない
② 「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当
(末期がん、パーキンソン病、多系統萎縮症、AIDSなど)
③ 特別訪問看護指示期間
(疾病の急性増悪時などに発行できる指示)

の患者さんとなります。
(厚生労働大臣が定める疾病等の詳しくはこちら)

逆に言えば、これに該当しない場合には介護保険で訪問看護が行われることになりますが、

 

ここで大切なのは、②や③などに該当するような難病や状態が不安定な方、つまり患者さんの利用頻度が高くなりそうな場合には、医療保険での訪問看護が適用されるような仕組みになっていると理解することであると思います。

 

実際に、医療保険の訪問看護では原則、1日に1回、週3回までしか算定ができませんが、②や③の状況においては1日に複数回、週に4回以上の訪問を行うことが出来るようになっています。

 

しかも医療保険には、介護保険と違い利用限度額がありませんので、もし介護保険を利用していると限度額に達しそうな頻度で訪問を行っても、医療保険で訪問を行えば、全額自己負担ということは避けられるわけです。

あるいは、身体障害者手帳の交付を受けている方や重度心身障害者医療費助成制度の対象となっている方については、医療費の助成があり、医療保険の訪問看護は公費負担になる場合があるため、利用するメリットが非常に大きいと言えます。

 

また、例えば60歳など比較的若年で末期の悪性腫瘍を患ってしまった患者さんについては、介護保険の適応にもなりますが、「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当することから、訪問看護は医療保険の適応になります。

この場合、自己負担額は3割となることから、頻回の訪問診療・看護で負担金が高くなってしまうことが予想されるでしょう。

そういう時には、いわゆる「まるめ」で1週間単位で診療報酬が固定額になる「在宅がん医療総合診療料」の導入が検討されるでしょう。

患者さんやご家族と相談しながら、こういったシステムを導入することも一考の余地があるのかもしれません。

 

 

このように、在宅医療においては介護保険と医療保険を組み合わせて、各人に最適なケアを最低限の実費負担で行うため医療と福祉が良くコミュニケーションをとって連携していくことが、患者さんのQOLを高めるためにはとても重要であると考えられます。

医療は医療、福祉は福祉と割り切ってしまうよりも、各々の知識をなるべく共有することで、患者さんに提供する在宅支援の幅が広がっていけば良いなと思います。

 

川良健二

 

その他の情報など、まとめページもご参照ください↓

在宅医療・訪問診療まとめ

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