第2話 「偶然とは恐ろしいもの」 -韓国

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第1話 エピローグ

 

 

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 旅の始まりは韓国と決めていた。以前に韓国で暮らしていたことがあったからだ。

 現在ぼくが在籍している大学の医学部では、そのカリキュラムの中で、半年間自由に医学研究をしていいという期間がある。
 
 この時期になると学生たちは実験室に篭り、最先端の治療に役立つことを夢見て、日々実験に明け暮れるのだ。

 そしてこれは本学に独特な制度なのだが、この「自由研究」は大学の斡旋する海外の研究室で行ってもいいことになっている。

 ぼくが韓国に滞在していたのはこの時だった。大学からの紹介を受け、半年間ソウル国立大学医学部の研究室で実験をしていたのだ。

 

しかし、偶然とは恐ろしいものである。

 

 2013年の9月末日頃、韓国行きを翌週に控えたぼくは、行きつけといっては小恥ずかしいが、たまに顔を出す小さいバーで酒を飲んでいた。

 その時偶然となりにいた女性は、その日初めて見た人だったが、何気ない話をしているうちに、仕事の主戦場を韓国に置く、ビジネスウーマンだということをぼくに告げた。

 驚きと共に、来週から半年ほど韓国で暮らす旨を伝えると、そちらの女性も驚いた様子だったが、ともかく色々な話を聞かせていただいた。

 そして翌週の半ば、ぼくはソウルの街中で彼女と一緒にいた。

 偶然が重なり、ぼくがソウルに着いた矢先に彼女と会えることになったのだ。そしてその日、彼女の知り合いだという韓国人男性を紹介してもらった。

 彼は日本語が堪能だった。日本のドラマや映画では飽き足らず、最近など「家康は~~、信長は~~」とまで語りだす程である。

 そしてぼくがソウルに滞在していた半年間、色々な場所や人を紹介してくれたのも彼だった。

 

 話は今年2015年の2月に戻るが、1カ国目韓国では当然のように、彼の家に転がり込ませてもらった。

 いわゆるバックパッカーというのは金が無いのだ。シャワーを浴びて寝るだけで良いから、とにかく宿代は安くあげたいというのが共通認識なのである。

 そんな韓国では何をしたかと言えば、これも奇妙な偶然ではあるのだが、結婚披露宴に参列した。

 韓国には面白い風習がある。

「結婚披露宴に招待された人は、勝手に知人を呼んで一緒に出席しても良い」というものだ。

 現にぼくは、韓国で挙式をする親戚・知人の類はいないのだが、例の彼に誘ってもらい披露宴に出席した。

 

seoul_ceremony

 

 その日式を挙げたのは、彼の母親と仲がいい友人、の娘だということだった。

 つまり「式を挙げた本人の母親と仲が良い友達、の息子の友達」が披露宴に出席しているのだから驚きである。

 もっともこの時彼とぼくの狙いは、「タダ飯」にありつくということ一点のみだった。

 韓国で披露宴出席者に振舞われるのは、日本のように給仕が運んでくるフルコースではなく、大きな会場で自由に飲み食いができる、ビュッフェ形式のものが一般的なようである。

そしてどうやら、直接招待を受けた人々には、そのビュッフェチケットが多めに渡されているようで、招待を受けていないぼくや彼のような輩も、タダ飯にありつけたというわけだ。

 

 

続きはこちらから↓
第3話 ここでは嫌な偶然が起きた ー韓国

 

 

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