タイトル
The “physician on call patient engagement trial”(POPET): measuring the impact of a mobile patient engagement application on health outcomes and quality of life in allergic rhinitis and asthma patients.
Cingi, Cemal, et al. International forum of allergy & rhinology. Vol. 5. No. 6. 2015.
原文はこちら
論文を一言でまとめると
トルコで行われた国内の多施設でのRCTによると、
アレルギー性鼻炎・気管支喘息の患者にモバイルアプリを用いてフォローを行うと、
1-3ヶ月後の質問表の評価によるQOLは改善した。
Methods
[場所/施設]
トルコ国内の7施設
[Patients]
アレルギー性鼻炎 or (中等度〜重症の)気管支喘息の患者
[Intervention]
モバイルアプリの利用
[Comparison]
アプリの利用なし
[Outcome]
アレルギー性鼻炎:1ヶ月後Rhinitis Quality of Life Questionnaire (RQLQ)のスコア
気管支喘息:3ヶ月後のAsthma Control Test (ACT)のスコア
[デザイン]
多施設での二重盲検のランダム化比較試験
※各質問表の内容について
[RQLQ]:睡眠、鼻症状、眼症状、目と鼻以外の症状、生活の困難、活動制限、感情の7領域に関する28項目を7段階評価
[ACT]:呼吸困難感、喘息症状、吸入薬の頓用、日常生活への影響、自覚的なコントロール状況の5項目を5段階評価 (5-25点)
モバイルアプリ[POPET]でできること
・絵文字を用いて7段階で健康状態の報告
・140文字で現状報告
・医師とメッセージの送受信
・緊急メッセージを送って、サポートを求める
・内服状況の共有
・QOL質問表の回答
[コントロール群でのアプリ内容]
・アプリは提供されるが、内容としてはQOL質問表に回答ができるのみ。
結果まとめ
・アレルギー性鼻炎の191人のうち、96人が介入群、95人が対象群に割付されたが、1ヶ月後までフォローできたのは介入群で88人、対象群で51人だった。
・気管支喘息の136人のうち、それぞれ68人ずつ介入群と対象群に割付されたが、3ヶ月後までフォローできたのは介入群で60人、対象群で29人だった。
・研究対象者は男女の偏りなく、年齢は各群の平均値の範囲が30.7-34.5歳であった。
・アレルギー性鼻炎患者における1ヶ月後のRQLQのスコアは、睡眠と眼症状の内容以外で、スコアの改善を認めた。
・気管支喘息患者における3ヶ月後のACTのスコアは、吸入薬の頓用、日常生活への影響、自覚的なコントロール状況の3領域で改善を認めた。
・その他アプリの使用状況としては、使用回数は中央値で90回(範囲 70-154回)であり、メッセージのやり取りの86%は8時〜18時の間だった。
・ステータスの更新の3288回中、546件が具体的な回答を求める質問であり、32件はすぐ回答するべき質問とされた。
・結果的には92%の医師(11/12人)が全ての質問に回答した。
[Limitation]
・コントロール群のLost to follow-upが明らかに多いこと
次郎作の感想
これは二重盲検がしっかりできているか疑問が残る論文でした。
「モバイルアプリの有用性を調べる研究します。介入群と対象群にランダムに割り付けます」って同意を取って、
3ヶ月間で最初と最後に質問に答えるだけのアプリを渡された被験者は自分が介入群だと思わなかったから、研究に付き合う義理もないので追跡不能になっただけなのでは・・・と思いました。
Outcomeも主観やバイアスの入りやすい質問表形式の結果だけなのも気になります。